学校で習った英語が間違っているわけではありません。古いか、堅すぎるか、場面が違うだけです。
それでも問題は起きます。ネイティブが日常で使わない言い方をすると、相手は一瞬固まる。意味は通じているのに、「教科書から出てきた人」という距離が生まれてしまう。
厄介なのは、ここが自分では気づけない領域だということです。間違いを指摘されることもありません——だって間違いではないので。以下12例、今の言い方と一言の理由つきで並べます。
あいさつ・出会い
- ✗ How do you do? → ✓ Nice to meet you. / Good to meet you. —— いちばん有名な一例。100年前の社交の言い方で、今これを言うと相手は一瞬止まります。初対面は Nice to meet you で完全に足ります。
- ✗ How are you? — I'm fine, thank you. And you? → ✓ Good, thanks — you? / Not bad, how about you? —— 文法は完璧ですが、丸ごと定型すぎて機械的に響きます。短く、少しくだけて、質問を投げ返すのが自然な形です。
- ✗ Good bye. → ✓ See you. / Take care. / Bye! —— Good bye は別れが重すぎます(長期の別れの響き)。毎日の別れは See you か Bye。
- ✗ Long time no see は間違い? → ✓ そのまま使えます。 —— これは逆パターン。辞書にも載っている正式な口語表現です。
会話を進めるとき
- ✗ I beg your pardon? → ✓ Sorry? / Sorry, what was that? —— I beg your pardon は今では皮肉(「なんですって?」)に聞こえることさえあります。聞き返しは Sorry? のひと言で十分です。
- ✗ Shall we go? → ✓ Should we go? / Want to head out? —— Shall は英語圏でもかなり堅い、あるいは英国的な響き。日常は Should we / Want to。
- ✗ May I help you? → ✓ (店員が)Can I help you? / Are you all right there? —— May I は間違いではありませんが、今はやや形式的。客の側から店員に言うことはまずありません。
- ✗ Let's enjoy the party! → ✓ Have fun! / Enjoy! —— Let's enjoy は英語としてほぼ使われない形です。Enjoy は単独で使います。
自分のことを話すとき
- ✗ My hobby is playing tennis. → ✓ I play tennis. / I'm into tennis. —— hobby は「趣味として申告する」堅い語。ネイティブはただ「やっている」と言います。
- ✗ What is your hobby? → ✓ What do you do for fun? / What are you into? —— 質問の側も同じ。What is your hobby は面接の質問用紙のような響きです。
- ✗ I have a pain in my head. → ✓ I have a headache. —— 体の不調には専用の名詞があります(headache, stomachache, sore throat)。
- ✗ I am boring.(退屈だと言いたい) → ✓ I'm bored. —— これは間違いの側。-ing は「与える側」、-ed は「受ける側」。I am boring は「私はつまらない人間です」になります。
なぜこのズレが生まれるのか
教科書はどの場面でも破綻しない英語を載せます。フォーマル寄りで、省略がなく、文法の説明がしやすい形。教える側から見れば最適です。
一方、実際の会話はその場面に最適化されています。短く、少し崩れていて、文脈に寄りかかっている。だから「正しいけれど使われない英語」という層が生まれます。
大事なのは、教科書英語は捨てなくていいということです。フォーマル側に寄っているだけなので、通じないわけではありません。ただ、日常で使う短い形をもう一つ持っておくと、距離が一気に縮まります。
どう身につけるか
この種のズレは知識で埋まりません。I'm fine, thank you. And you? が何年もかけて口に染み込んでいるからです。知っているだけでは、とっさの瞬間に古い方が出ます。
だから、上の12例のうち自分が実際に使っている3つを選んで、新しい形を声に出して3回読んでください。置き換えは「言ってはいけない」と覚えることではなく、新しい形のほうが口に馴染むことで起こります。
MirrorSay(ミラーセイ) はその置き換えを1動作にします。自分の言い方で1文言う → ネイティブならどう言うかが出て読み上げられる → シャドーイング → リズムを単語ごとに比較。教科書の例文ではなく、自分が本当に言う文で置き換えられます。
関連:直訳英語15選、通じない和製英語一覧、ネイティブの社交辞令の本音。
*MirrorSay(ミラーセイ)は無料の英語スピーキング練習アプリです。1文言うと、ネイティブの言い方を映し、そのままシャドーイングできます。登録不要、音声は端末の外に出ません。*
