たどたどしかった音声に付いていけるようになると、上達を実感します。ただ、速さは「声が録音に追い付いたか」を示すもので、理解、記憶、別の場面で使えることを自動的には証明しません。
速度は観察項目の一つにとどめましょう。意味が分かるか、文字なしでどれだけ取り出せるか、かたまりを自分の文に使えるかも確かめます。
日本の研究が速度と記憶を分けて測ったこと
橋崎諒太郎氏の2021年のJ-STAGE論文は、段落のシャドーイングで、反復回数、材料の難しさ、英語チャンクの記憶の関係を調べました。参加者は難易度の違う二つの文章をそれぞれ30回シャドーイングし、10回ごとに手がかり付きの再生テスト、一週間後に遅延テストを受けました。訓練前後の速度も測定されています。
反復が増えるにつれ、取り出せる英語チャンクは増えました。報告された比較では、難しい材料のほうが少ない反復で対応する結果になりました。訓練後の速度は向上したものの、著者は速度の向上がチャンク記憶の前提ではなかったと明記しています。
課題、文章、測定には固有の条件があります。「全ての文を30回」「難しいほどよい」「速度は無意味」という結論ではありません。流暢さと記憶を分けて確かめる手掛かりとして読みます。
音声に合わせるだけではない4段階
1. 理解してから声に出す
大意が分かる2~4文を選び、重要語を確認して*I'd appreciate it if…*など意味のかたまりに印を付けます。話し手の目的を考えながら一度聞きます。
2. テキストを少しずつ隠す
全文を見てまねたあと、キーワードだけでまね、最後は意味の手がかりだけで言います。かたまりが出てこなければ、その部分を聞き直します。毎回一語ずつ音声を追うだけにしません。
3. 同期ではなく想起を確かめる
音声を止め、最初の語や意味を手がかりに全文を言います。大意は言えても大切な表現が抜けるなら、その表現に戻ります。翌日と一週間後にも試し、今のセッションの耳なじみを記憶と混同しません。
4. 安定してから速くする
意味と重要なかたまりが安定してから、各回の流暢さを比べます。速さはコントロールの結果で、語尾を飲み込み、強弱を消して得るものではありません。
難易度と回数をどう決めるか
難しい材料の結果は、未知語だらけの文章を選ぶ指示ではありません。想起の成績には難易度と既存知識が関係し、万能の回数はありません。
独学では、大意が分かり、新しい表現が少しある文章を優先します。三語ごとに辞書を引くなら、短くする、易しい版にする、予備知識を付けます。すでに楽に言えるなら、回数をこなすより自分の場面へ応用します。
MirrorSayで音声から離れて言う
MirrorSayに実際に使う短い文を保存し、お手本を聞いてまね、タイミングを一度確認します。次は音声に合わせることから、意味を自分で言うことへ切り替えます。対訳材料なら意味を見てから英文を表示、普通の文なら文字を隠してキーワードを頼りに言い、自分の録音を聞きます。
想起練習で英語を話すとチャンクで話す練習もご覧ください。機能の操作は画面付きシャドーイングガイドにあります。
資料
- 橋崎諒太郎 (2021). The Effect of Shadowing on Memorization of English Chunks and Its Theoretical Basis: Influence of Repetition and Material Difficulty. *外国語教育メディア学会中部支部研究紀要*, 31, 39–52. J-STAGEの要旨・全文入口 · DOI
J-STAGEの公開研究情報をもとに作成しました。練習案は独学向けの応用で、元の指導手順の再現ではありません。
