答えを見れば話せるのに、隠すと黙ってしまうのは、学習能力がないからとは限りません。完全な支援のある練習だけで、自分で組み立てる段階へ進んでいない可能性があります。
モデルのフェーディングは、完全な例→一部を補う練習→自立した発話の順に支援を減らす方法です。内容の選択、文の組み立て、発話を少しずつ自分で担います。
シャドーイングだけと何が違うか
シャドーイングはモデルの音やリズムに近づく練習です。フェーディングは後でモデルを離れ、関連する課題を自分で完成させます。順番に使えますが、最後にうまく模倣できたことだけを習得の証拠にはしません。
Gohのレビューは、足場かけを「一人では十分にできない課題を可能にし、最終的に支援なしで行えるようにする支援」と説明しています。完全なモデルは支援の一つで、目的地ではありません。
一つの課題を3段階で行う
隣人に荷物が別の住所へ届いたことを伝える場面を考えます。
第1段階:完全なモデル。他人の荷物を受け取ったこと、住所、確認してほしいことを説明する例を聞きます。一度リピートし、I think や Could you など機能を持つ表現だけを確認します。全文は書き写しません。
第2段階:骨組みだけ。I think... / The address... / Could you...? と3語を残し、自分の住所、荷物の状況、依頼に換えて30秒話します。
第3段階:条件を変えて自立。英文を全て隠し、荷物が届かない、破損しているなど別の問題に変えます。状況、根拠、してほしい対応を話します。
最後が全くできないなら、第2段階へ戻ります。何もない所から難しい文を無理に作る必要はありません。
一度に外す支援は一つ
テキストを隠してキーワードを残す、音声を止めて場面の絵を残す、文の枠を隠して場面カードを残すなど、一段階ずつ行います。内容・語彙・構成・音声の支援を同時に全部外しません。
- 内容:話せる事実、意見、経験があるか。
- 構成:先に依頼するか、理由から言うか分かるか。
- 言語:必要な枠とキーワードがあるか。
- 音:重要な表現を自然な音声で聞いたか。
足りない所だけを一時的に補います。全文をもう一度書き写すことが唯一の方法ではありません。
15分の練習
4分でモデルを理解してリピートし、4分でキーワードから2つの版を話し、4分でテキストなしの新場面に応答します。最後の3分で一つの表現だけを振り返ります。
各段階で実際に声に出します。「頭の中では言える」だけでは、支援の量が適切か分かりません。録音して確かめます。
自立は完璧さではない
自立した発話でも、考える間、語の確認、聞き返しは使えます。記憶したモデルを再生するのではなく、新しい情報に合わせて組み立て直せることが目標です。
第2段階で名前だけ、第3段階でも人物・時間・出来事が同じなら、変化が足りません。実際の表現選択に影響する条件を変えます。
ミラーセイをどこで使うか
第1段階で言いたい内容をミラーセイに話し、自然な表現を音声でリピートします。第2段階では自分のキーワードだけを残し、第3段階で参考を隠して新課題を行います。
構文の選択にはインターリービング、時間をおいた確認にはタスク反復を使えます。ディクトグロスも加えられますが、一度に全てを詰め込む必要はありません。
参考資料
- Goh, C. C. M. (2017). Research into practice: Scaffolding learning processes to improve speaking performance. *Language Teaching*, 50(2), 247–260. DOI · 公開原稿
- Goh, C. C. M., & Burns, A. (2012). *Teaching Speaking: A Holistic Approach*. Cambridge University Press. 出版社書籍ページ
*ミラーセイ(MirrorSay)は、話したい英文を自然な言い方に映し、音声でシャドーイングできる無料のAI英会話練習アプリです。登録不要、音声は可能な限り端末内で処理します。*
