スピーキングの録音が増えても、聞き返すだけでは「少し遅い」「何となく不自然」で終わりがちです。次の録音で同じ話し方を繰り返す原因は、直す場所が具体的に見えていないことです。
そこで、30秒だけ実際に話した語を書き出します。抜けた動詞、同じ言い出しの繰り返し、長すぎる前置きが紙の上に残ると、次に直す一点を選べます。
自己文字起こしは普通のディクテーションと違う
ディクテーションが他人の英文を忠実に書き取る練習なら、自己文字起こしは自分の発話を書き、修正し、同じ内容をもう一度話す練習です。
エディンバラ大学のTony Lynchは、学術英語の授業でこの方法を使いました。学生がロールプレイの録音を書き起こし、自分で直せる部分を修正し、教師から不適切な表現を書き換えた版を受け取って、同じ課題を再び行います。2007年の2クラスの報告では、自分で文字起こしをしたクラスが、後の課題で重点的に扱った正確さの改善を保ちやすいことが示唆されました。小規模な授業研究なので、万能な効果の保証ではなく、実践的な復習手順の根拠として読みます。
Lynchは問題を次の2種類に分けています。
- 口誤(slips):知識はあり、振り返れば気づけるもの。三人称のsの抜けなどです。
- 誤り(errors):今の知識だけでは正しく直せず、お手本や説明が必要なもの。
すべてを「集中不足」にせず、必要なインプットを見極める手がかりになります。
30秒で回す4ステップ
1. まず普通に答えを録音する
「転職した理由は?」「このアプリは何を解決する?」など、一つの質問に60~90秒話します。ゆっくり話しすぎず、途中で毎文を直さず、最後まで進めます。
2. 内容がまとまった30秒を逐語で書く
最も下手な部分ではなく、分析する内容がある部分を選びます。言い直しや途中で切れた文も、実際に話した通りに書きます。「えっと」は斜線で印をつける程度で十分です。
I work here... I have worked here three years, and my job is mainly... mainly help customers solve the problem.
書きながら無意識にきれいな英文へ変えないことが大切です。実際の発話と違えば、比較の対象が消えてしまいます。
3. 自分で直せる所と、質問する所を分ける
確実に分かる一つを直します。*I work here three years*なら、*I have worked here for three years*などです。自信がない所には疑問符を付け、単語だけでなく文全体を使って確認します。
明確な文を、難しく見せるためだけに置き換える必要はありません。*Help customers solve problems*でも十分に伝わります。長い表現が常に良いわけではありません。
4. 文を見ず、同じ質問にもう一度答える
文字起こしを閉じ、同じ内容で新しく録音します。語や順序が変わっても構いません。選んだ修正を実際の発話に入れることが目標です。
話し直さなければ英文校正の練習で終わります。修正した原稿だけを何度も読んでも、新しい場面で使えるかは分かりません。
記録は3行、修正は一回に一つ
十か所を一度に直そうとすると、次の発話で注意が散ります。意味が伝わりにくい、今週繰り返している、近い会話で使う、という順で一つを選びます。
- 元の文:実際に何と言ったか。
- 修正案:より明確にどう言えるか。
- 使う場面:次はどの新しい状況で使うか。
一週間後に別の話題で同じ型を使います。修正文を読んでいるときだけ正しいなら、まだ自在に使える状態ではありません。
この方法だけでは解決しないこと
素材の意味が分からないなら、長いアウトプットの前に理解が必要です。二つの音の違いが聞き取れない問題は、文字で振り返っても解決しません。また、自然に聞こえることが、事実や専門表現の正しさを保証するわけでもありません。
音声認識で文字化する時間を省いても構いませんが、必ず録音と照合します。機械が聞き取れなかったことは発音ミスの証明ではなく、認識できたことはリズムや表現が自然な証明でもありません。
自分で直せない一文をミラーセイへ
文字起こしから「使いたいが、言い方に自信がない」一文を選び、ミラーセイに自分の意味を話します。自然な表現と音声を確かめてリピートし、元の質問に再び答えます。「気づく→フィードバック→もう一度話す」までが一組です。
文のリズムを聞き分けるには意味のかたまりで話す練習を、修正したあとの具体的手順は英語の訂正後に話し直す方法で確認できます。
参考資料
- Lynch, T. *Student-responsible correction of spoken English*. University of Edinburgh. 授業実践の説明(PDF)
- Lynch, T. (2007). Learning from the transcripts of an oral communication task. *ELT Journal*, 61(4), 311–320. DOI
*ミラーセイ(MirrorSay)は、話したい英文を自然な言い方に映し、音声でシャドーイングできる無料のAI英会話練習アプリです。登録不要、音声は可能な限り端末内で処理します。*
